フクジュソウの花の温度

フクジュソウの花はパラボラアンテナのようになっていて太陽熱を花の中心部に集めます、早春の寒い中、花は昆虫に温かい場所と食事を提供し、その代わりに花粉を運んでもらうんだと、本で読んだ記憶があります。その時は「なるほどなるほど!!」と、自然の巧みな仕組みに感激して納得したものです。
しかし花を観察していると、花の咲く方向はまちまちで、必ずしも太陽の方向は向いていません。花の向きも太陽の運動に連動することはなさそうです。一部の花だけが、太陽が真正面に来た短時間だけパラボラアンテナになって虫を集めるのはあまり効率がいい方法とは言えません。花弁の曲がり具合を観察するに、パラボラアンテナの焦点は昆虫が停まる場所よりもっと高い位置にありそうです。観察していてフクジュソウの花に昆虫が訪れたことは一度もありません。等々、疑問が湧いてきました。そこで赤外線温度計で花の温度を測ってみた。

花の中央のマッチ棒は花を訪れた昆虫と見なして、昆虫の温度を測るつもりです。
同時に気温と直射日光の当たる地面、色の違うパンジーの花弁の温度も測ってみました。

              温度℃
気温     3.7  3.2  12.6  17.3
土の温度  15.3  9.1  29.1  35.5
福寿草    8.6  5.7  15.1  25.0
パ・ピンク 11.0   ー    ー    25.9
パ・シロ   9.5   ー   16.9  26.1
パ・キイロ 11.5 10.8  15.1  24.8
パ・紫   15.3   ー   20.2  29.0
パ・深紅  17.6   ー   19.9  33.6

気温は日陰の気温。土の温度は花の付近の日のよく当たる土の温度。パ・ピンクやパ・シロはそれぞれピンクと白の花弁のパンジーを示します。
 この表から、直射日光の当たる地面は想像以上に温度が高いことが解ります。昆虫がフクジュソウを訪れる事を想像するに、昆虫は日が当たる地面でまず体を暖め、暖まったらフクジュソウの花で食事をし、体が冷えたら又地面に降りて暖まるのが良さそうに思えませんか?。
パンジーの花では、色が濃いほど暖かいことが解ります。
フクジュソウの花のパラボラアンテナ説は話しとしては大変面白いですが、私には???に思えるのですが。