水素爆発について

水素爆発で原子炉建屋が飛ばされたのは事実でしょう。ではどこから水素が来たのか?。
事件当時NHKの解説にでた東大の偉い教授は
①圧力容器内で水が燃料被覆管(ジルコニウム合金)の触媒作用で分解して水素ガスと酸素ガスが発生した。その水素ガスが圧力容器と格納容器の壁を拡散して漏れ、原子炉建屋に充満した。
これは極めて疑わしい説だと思いました。
次なる説明では
ジルコニウム合金が高温の水に触れて酸化して水素ガスが発生した。この説は、そうかも知れないが、通常運転時も高温高圧の条件で運転されていて、少しずつは反応が進んで被覆菅が劣化することはないか?、不安がよぎります。
私が最も可能性が高いと思っていたのは
放射線分解で水が分解して水素ガスと酸素ガスになる反応です。どの程度の量で発生するか解りませんが、原子炉には発生した水素ガスと酸素ガスを元の水に戻す回路が設置されていることから、無視できない量であることは確かです。

昼のNHKニュースでは圧力容器にたまった水素で爆発が起こらないように窒素ガスを注入する旨の報道があり、その水素は上記②で発生したなる説明でした。しかしこれはおかしいです。水素が爆発するにはその1/2量の酸素ガスが必要で、その酸素はジルコニウムの酸化に消費されているので、水素爆発が起こるわけがないのです。
窒素ガスを注入すると炉は安全になるのか?。
そのまま窒素ガスを注入しても水素の分圧は変化しないので、爆発の危険性は変わらない、と思いますが、自信はありません。炉内の圧力は限界に近いと推定されるなか、さらに窒素で圧を上げて大丈夫でしょうか?。
炉内の圧を下げて、その代わりに窒素ガスを注入するのでしょうか?。その時には超高濃度の放射性ガスが大気中に放出されることになるし、炉内の水が蒸発して空だきになる危険性があります。そうならないように今の炉をコントロールする自信はありますか?。慎重な判断が必要です。

事故後、回復のためにいろいろな手段が提案されてきましたが、全て(!!)失敗しました。これは東電が主導で行ったのではなくて、政府関係のお偉いさんが無責任に提案してやらせた結果ではないかと私は想像します。そのための後処理に東電は翻弄されて、そうこうしているうちに状況はますます悪くなって・・、これが現状ではないのでしょうか。


研究の業績主義が、当然のことながら原子力関係にも波及していて、原子炉の基礎研究では業績を上げることが出来ません。そのような技術者は現役にはもういないのです。政府が現役の机上研究者に相談しても適切な解決策は得られないのではないでしょうか。
東電は何と言っても原子力発電所事故の第1の加害者ですが、今や第1の被害者にもなりつつある、と私は思うのですが。
船頭多くして船山に登る、現在の状況はまさにこういうことではないでしょうか。