TVで手品実演

NHKのローカルTVで手品教室の取材があった。
実演の依頼があったので了解したが、それからが大変だった。
①実演時間はたったの45秒
一発芸だったら15秒ぐらいでできるが、流れのある手品は2〜3分は必要だ。1分以内でできる数種類の手品をダイジェスト版に縮小してやってみた。その中からカップとボールを演じることにした。
録画の当日の午前中は20回ぐらいは練習しただろうか。(1回に1分かからないので、トータルの練習時間はたいしたことはなかった)

②リハーサルで手順の変更
カップを左右に振って客に見せるシーンは、
カメラマン、「早すぎますね、TVカメラだけを意識して、カップをカメラに向けて止めてください」
私、「なるほど!、了解しました」今日は客に振らなくていいんだ。
カメラマン、「全体に早すぎてカメラが追えないので、ゆっくりと」
時間を45秒に納めることばかり気にして、早くなっていたようだ。
私、「わかりました。そうすると時間が長くなりますので、ここのシーンはカットしますね」
5回ぐらいリハーサルをやらされて、手順が変更された。直前に変更されて本番でうまく行くのだろうかと一抹の不安があった。
③インタビューの事前打ち合わせ
目がぱっちりの美人アナウンサーに見つめられると・・・、思わず目をそむけてしまって・・・、私って、だめなんだなー。
美人アナウンサー、「手品歴40年以上だそうですね」
あれれ、おかしいなー。ディレクターには学生時代に3ヶ月クラブに入っていて、その後ブランクがあって、60才になってから老化防止のためにまた手品を始めたと言ってあったのに。しかし、説明し始めると長くなるから、これでもいいか。ブランクの間も、職場の忘年会で2〜3回は手品をやったからな。と、安易な妥協。
私、「は!、はい!、そうなりますかね」。
1つ嘘をつくと後の会話にすぐ影響が出ることは考えが及ばなかった。
アナウンサー、「なぜ手品を始めたんですか?」
困ったなー、老化防止のために再開したのに、手品歴40年では矛盾するじゃないか。
私、「私は引っ込み思案の性格でして、手品は人前で演じなくてはいけないので、この性格が改善されるのではないかと思いまして」
と、とっさに思いついた嘘、冷や汗がたらーり。とっさに嘘でごまかすマジシャンの悪い癖だけは一人前になった?ようだ。
④全体を通してのリハーサル
前半はアナウンサーとマスターとの寸劇で、何回もNDが出て、そのたびに最初からやり直しで、その先に進まない。これでは私の出番は何時になって、また、何回NDを出すことになるのかなと心配していたら、私のところは1回でOKが出た。
結局、5分の番組にトータルで2時間もかかった。
終わって、私のできは60点ぐらいの、何とか合格点と思っていたが、家に帰って録画ビデオで再生してみると、思った以上にちゃんと演じていた。80点に訂正しよう。