賞味期限

「お父さん、お茶を入れたよ」
「わかった、今、行くよ」
「これね、災害の時の非常食として確か5年前に買っていたビスケット缶なの。二缶あるけど、こちらは今年の2月、こちらは5月で賞味期限が切れてしまったの。どうする?、食べる?」
「賞味期限が来たからって腐ったわけじゃあないし、食べられるだろう。どうせ我々二人も70歳以上の賞味期限を過ぎた人間だ。その我々が賞味期限を過ぎたものを食べたって、どうってことはないだろう」
「・・・・」

と言うことで、ビスケット缶のアルミの蓋を開封した。
「こっちの短い缶はなんか変な臭いがするぞ、嗅いでみな」
「そう、本当だ!、油が酸化したような匂いだね」
酸化防止剤が入っているようだけど、効いていないのかな、でも腐っていないようだから食べてみようか。でも、気のせいかな、臭いが気になって、旨く感じないな」
「もう一つの長い缶の方はどうなの」
「こちらの缶は匂いも正常だし、食べてみても正常だな、味も悪くないな。まずく感じるものをあえて食うほど飢えていないから、こちらの短い缶は捨てよう。こちらの長い缶は食べようか」

と言うことで、右側の缶のビスケットは廃棄したが、左側のは食べることにした。その後も体調は良好である。なお、長い缶の中には酸化防止剤は入っていなかった。
酸化防止剤は、どら焼きの袋など、短期の保存用には多く用いられているが、長期間の保存にその効能が実証されているのだろうか。酸化剤がにおいの原因になっていないのだろうか。賞味期限の2月を過ぎて急に匂い始めたとは思えないのだが。