新書本に手品のトリックが仕込まれている

あるマジシャンから手品を見せられた。
手品師は客の前に置いた本をパラパラめくる。お客は、めくりの間に指を差し込み、任意の頁でストップさせる。手品師はその頁の右上から諳んじてみせる。という手品である。
本は、泡坂妻夫著「しあわせの書」新潮文庫、定価400円
である。
著者はマジシャンであり、推理小説作家でもあるようだ。本の内容も推理小説のようだ(が、まだ読んでいない)。ところがこの本にはトリックが仕組まれていて、上記した手品が演じられるように細工がしてあるのだ。トリックを知ると、私にも容易に演じられるのだ。
そのトリックを知った時、「公に販売される書籍を使ってまで手品のトリックを完成させるのか、そこまで完璧なトリックを考えるのか」と、筆者のマジックに取り組む姿勢に鳥肌が立つ思いであった。
昭和62年の発行なので絶版かなと本屋に聞いたところ、取り寄せられるとのことで注文することにした。
以下店員との会話
「ではこの本を注文しますのでよろしく」
「あのー、お客様、部数は何冊にしましょうか」
{変なことを聞くなー、こんな文庫本1部に決まっているだろーに}
{いや待てよ、マジック仲間の*君にもあげようか}
{複数注文したら、この店員どんな想像をするんだろうね?。反応を見てみたいね}
「そうですねー、ジャー、3冊注文しますか」
「はい、かしこまりました」
店員は下を向いたまま無表情に答えた。
期待外れだった。
ひょっとして、店員はマジシャンだったのかな?。