大内宿と塔のへつりへのドライブ

娘夫婦が我々夫婦に旅行をプレゼントしたい、と言うことで、あまり負担を掛けないように一泊二日のバスツアーを希望した。ところがそのバスツアーは人数が集まらないとかで中止になった。その目的地がへんてこな名前の、福島県の”塔のへつり”だった。
昨日の朝である。
「おかーさん、台風の被害もなかったようで、今日は天気も良くなりそうだから”塔のへつり”にいってみようか」
「えっ!、ああ!、例のとこね。行ってみようか。じゃあ、早く朝食の用意をしなくっちゃー」
ということで急きょ今日の予定が成立、8時10分に家を出て、高速で、仙台南→郡山→会津若松へ。
会津若松のインター手前で
会津若松鶴ヶ城ってあるよね、見学していこうか」
「いいわね、でも、以前子供たちと来たことがあるよね」
「そうだっけか、僕は全然記憶にないけれど・・。だったらやめようか」
(いくら思い出そうとしても、鶴ヶ城の記憶は全くないのだが、まあいいか)
高速を降りて国道118号を走る途中で
「この付近に”大内宿”というのがあるんだが、そこに寄って行こうか」
「いいわね、そうしましょう」
とにかく、行き当たりばったりの、いい加減夫婦である。
青森県奥入瀬渓谷よりももっと素晴らしい渓谷をのぼること10分、急に視野が開けて大内宿に着いた。道の両側にはかやぶき屋根の家が並び、木曽の奈良井宿を質素にしたような佇まいにまず感動した。

所がである。
家々の、道路に面した縁側は全て売店になっていて、中国産のみやげ物やら他県のみやげ物やらの展示会場で、特産品らしいものはシイタケとウドの味噌漬ぐらいであった。仕方なくこの2品を購入した。歴史を感じさせる展示館も2軒あったが、かやぶき屋根の小さな建屋から想像するに、大したことは無かろうと金を払ってまで入るのは止めにした。結果として、大内宿の内容にはがっかりした。
次は塔のへつりだった。エメラルド色の淀みの向こう側が凝灰岩の崖になっていて、東南アジアの寺院の尖塔が林立する景観に感動だ。

見えたのは4本の尖塔だが、木の陰に隠れて(案内看板によれば)10本以上の尖塔が存在するようだ。
私は、この様な自然の景観を見るのは大好きで、十分満足であった。
もう一つ、良しとしたのは、ヘツリの漢字だった。”へつり”は、山冠の下に、英語のドル記号にもう一本縦に棒を加えた漢字で作られるのだ。
”金(ドル)の山で観光客を呼び込むぞ”という業者のしたたかさを私なりに強引に感じ取って、自己満足であった。


帰宅は午後6時、今日も、行き当たりばったりの一日であった。