暇人の時間つぶし

暇人の私は、夜酒を飲むと9時前には寝てしまう。2時ごろには酔いがさめて眠れないので、NHKの”ラジオ深夜便”を聞くことになる。
昨夜のことだ、長年愛用していたレシーバーの左側が、ケーブルが断線して聞こえなくなった。20年以上使ってきたであろうか、今までよく尽くしてくれたものだ。
ただ捨ててしまうのは何となく寂しい気がして分解して中を見ることにした。どうせ私は暇人ですから、時間つぶしにはもってこいだ。

昔のレシーバーは、コイルに電流を流し、その前に置いた鉄板を磁力の変化で振動させて音に換えるもので、パーマネントスピーカーを小型化したものであった。その後、水晶の結晶に電流を通じると結晶が伸び縮みする原理を使ったクリスタルレシーバーが開発された。これによって、耳の穴にも入ってしまう小型のレシーバーが開発されて現在に至る、と、私は思っていたのだが、今回分解してみて間違っていたようだ。


まず外套部(写真の上段中央部)とメッシュ部(ここから音が出る)を止めているタガ(写真中段の左側の黒い輪)を外すと、金属の円板部分(中段の右側2個(さらに2つに分解してある))とメッシュ部分(中段の黒い輪の右)に分かれた。円板部分は固い金属で加締められていたが、ニッパーで開くと、黒い金属部分(中段の右端)と中央にコイルを張ったプラスチックフィルム円板(中段の右から2番目)に分解された。黒い金属部分をさらに分解すると、ドーナツ状のマグネット(右下隅の部分)とその支持体(その上)になった。プラスチック円板は円板部とコイル部分に分解された。これから解ったことは、クリスタルを用いたレシーバーではなくて、パーマネントスピーカーを超小型にしたレシーバーだったのだ。
髪の毛より細い銅線に絶縁処理をしてコイルに加工し、そのコイルをマグネットとその外套との1mm未満の隙間に、マグネットなどに接触することなく配置し、全体を加締めて作り上げる、その””精密な技術””、凄いものですね。ただただ脱帽でした。それにしても、かなり昔に発明されたパーマネントスピーカーが超小型化されて現代でも使われている、クリスタルではできないパーフォーマンスがあるのでしょうね、きっと。
ケーブルは、曲げたり伸ばしたりの金属疲労に耐えるように、昔は麻ひもに導線を巻き付けたものでした。今も構造は同じようですが、ものすごく細い銅線10本をプラスチックスファイバーに巻き付けたもので、疲労に強くなっているのでしょう。

暇人の時間つぶしでした。